人通りが多い=良い物件? 私が開業するお客様に「この物件はやめましょう」と言う理由

独立開業重要ポイント100選!

独立開業を考えているお客様と一緒にテナント物件を探していると、「人通りが多い場所がいいです」と希望されることがあります。

もちろん、人通りが多いことは店舗を探すうえで魅力の一つです。

ただ、私は「人通りが多い=商売に向いている物件」とは限らないと思っています。

場合によっては、お客様が気に入っている物件でも、「ここでの開業は一旦見合わせて、他の物件も探してみませんか?」とお話しすることもあります。

なぜ、仲介する立場の不動産会社が契約を止めるようなことを言うのか。今回は、これまで独立開業のお手伝いをしてきた経験から、私がテナント物件を見るときに気をつけていることを書いてみたいと思います。

人通りが多くても「誰が歩いているか」が大切

商売を始める方の多くは、人通りの多い場所を希望されます。しかし、大切なのは単純な通行量だけではありません。

そこを歩いている方の年齢層などが、自分の商品やサービスを買ってほしい対象と合っているか。そして、その人たちがどのような導線で動いているのか。こちらの方が大切だと思います。

反対に、そこまで人通りが多くない場所でも、わざわざ行きたくなる魅力的な商品やサービス、あるいは集客力のある店主であれば、立地の影響は小さくなるかもしれません。

人通りだけを見て、高い家賃の物件に飛びつくのは一度考えた方がいいと思います。

固定客がいる美容関係なら、一等地でなくてもいい

例えば、美容関係のお仕事です。独立する前からある程度の固定客がいらっしゃるのであれば、必ずしも一等地である必要はないと思います。

まずは、その固定客の方々が無理なく通える範囲で物件を探すという考え方があります。そうすることで、必要以上に高い家賃を払わずに開業できる可能性があります。

ただし、固定客だけに頼るのも危険です。長く営業していれば、お客様も少しずつ入れ替わっていきます。そのため、今いる固定客が来てくれることだけを前提にするのではなく、新しいお客様をどうやって集めるのかまで考えて事業計画を立てる必要があります。

事務所なら「人通り」より仕事のしやすさ

事務所を探す場合は、店舗とは見るところが変わってきます。従業員の方が通いやすいか、取引先との行き来はしやすいか。また、市役所などの官公庁や銀行など、仕事で頻繁に利用する場所へのアクセスも考えた方がいいと思います。

これは当社自身にも当てはまります。エンラージ株式会社は枚方公園に事務所がありますが、不動産会社という仕事柄、枚方市役所方面へ行くことがよくあります。その意味では、実際に仕事をしていると少し不便だなと感じることもあります。

物件を探すときは、単純な駅からの距離だけではなく、「そこで毎日仕事をする」という視点で考えることも大切です。

家賃が高すぎる物件は慎重に考える

私が特に気になるのが、固定費としての家賃が高すぎる物件です。人通りの多い場所や目立つ場所は魅力的ですが、当然ながら家賃も高くなる傾向があります。

毎月の家賃は、売上が良い月だけではなく、売上が思うように伸びない月にも支払わなければなりません。

それなら、商品やサービスに集客力がある場合には、あえて人通りの多い高家賃の場所から少し離れて、固定費を抑えて戦うという選択肢もあると思います。

大切なのは「良い場所かどうか」だけではなく、その家賃を払い続けても事業として利益を出していけるかどうかです。

現状渡しなら改装費まで含めて考える

テナント物件には「現状渡し」の物件もあります。借りた方が自分でリフォームすること自体は珍しいことではありません。

しかし、物件によっては営業できる状態にするまでに相当な費用が必要になることがあります。物件自体が気に入っていても、改装費を含めると初期投資が大きくなりすぎる。

そのような場合は創業計画と照らし合わせて、「この物件にここまでお金をかけるのであれば、別の物件を探した方がいいのではないでしょうか」と提案することがあります。

家賃以外にかかる費用も確認する

テナントを借りるときには、毎月の家賃だけを見てはいけません。

物件や管理会社、オーナー様によっては、更新時に更新料や更新事務手数料が発生することがあります。保証会社についても更新料が必要になるケースがあり、最近では負担が大きくなっていると感じることがあります。

一つひとつはそれほど大きな金額に見えなくても、事業を何年も続けていけば固定費になります。そのため、契約時の費用だけではなく、開業後にどのような費用が継続して発生するのかも確認しておくことが大切です。

募集条件が頻繁に変わる物件にも注意する

私があまりおすすめしないものの一つに、募集賃料などの条件が頻繁に変わる物件があります。

もちろん、募集条件が変更されること自体はあります。ただ、あまりにも条件がコロコロ変わる場合、私は少し慎重になります。

入居後、更新のタイミングなどで賃料改定の話が出る可能性なども考え、長く安心して商売を続けられる条件なのかを確認した方がいいと思うからです。

契約することがゴールではありません

エンラージとしても、契約になれば仲介手数料をいただくことができます。

それでも、事業計画が十分にできていなかったり、物件についてどうしても納得できない部分があったりする場合には、「ここでの開業は一旦見合わせて、もう少し他の物件を探しましょう」とお話しすることがあります。

無理に契約して、その後商売がうまくいかなくなったり、管理会社やオーナー様とのトラブルを抱えたりしてしまっては、お客様にとって良いことではありません。そして当社にとっても、そのような契約を無理に進めることは、結果として後々の足かせになってしまいます。

テナント物件を探すときに大切なのは、「人通りが多いか」「家賃はいくらか」「きれいな物件か」だけではないと思います。

誰に、何を売るのか。
そのために本当にこの場所が必要なのか。
初期投資と毎月の固定費を払っても利益を残せるのか。

そこまで考えて初めて、その方にとっての「良い物件」が見えてきます。

独立開業の物件探しでは、気になる物件が見つかるとどうしても気持ちが前に進みます。そんなときこそ一度立ち止まって、「この物件で商売を続けていけるだろうか」という視点でも考えてみてください。

私たちも一緒に考えながら、その方に合った物件を探していきたいと思っています。

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