かかってくる営業電話について真面目に記事を書いてみました。

エンラージ株式会社は、今年で14期目に入りました。

会社を長く続けていると、世の中の変化をいろいろなところで感じます。

その一つが、会社にかかってくる「営業電話」です。

振り返ってみると、この10年以上で営業電話のかけ方はずいぶん変わりました。

10年前の営業電話は、もっと分かりやすかった

創業した頃の営業電話を思い返すと、今よりずっと単純でした。

会社の市外局番から電話がかかってきて、

「〇〇株式会社の△△と申します。〇〇という商品のご案内でお電話しました。代表者様はいらっしゃいますでしょうか?」

といった具合です。

会社名を名乗り、何を売りたいのかを伝え、そのうえで担当者や代表者につないでもらう。

必要なければ、

「すみません。必要ありません」

と断れば、それで終わりです。

営業する側も、受ける側も非常に分かりやすかったように思います。

いつの間にか「営業です」と言わない営業が増えた

ところが、しばらくすると営業電話の雰囲気が変わってきました。

最初から商品を売ろうとせず、

「近くで不動産を探している方がいまして……」

「企業の福利厚生として、不動産会社様をご紹介するサービスをしていまして……」

「地域の会社様を対象にモニターを募集しており、ホームページを無料で作成しています」

など、一見すると「仕事の依頼かな?」と思わせるような入り方が増えてきました。

不動産会社を経営していれば、「物件を探している人がいる」と言われれば当然話を聞こうとします。

ところが、しばらく話を聞いていると、

「あれ?これは営業電話では?」

と気付く。

ここが非常にうまく作られています。

少し話を聞くと、相手のペースに入ってしまう

こうした電話を何度も経験して、私自身が学んだことがあります。

「必要のないものは、必要ないとはっきり伝える」

ということです。

最初に「営業であれば結構です」と伝えれば、ほとんどの場合そこで終わります。

ところが、

「それはどういうサービスですか?」

と少しでも話を聞いてしまうと、相手は営業トークの流れに沿って質問をしてきます。

おそらく電話営業には、ある程度決められたトークスクリプトやQ&Aがあるのでしょう。

こちらが答える。

次の質問が来る。

また答える。

そうしているうちに、

「それでは詳しい担当から一度ご説明させてください」

となり、気が付けばアポイントが入っている。

電話営業も一つの技術なのだと思います。

だからこそ、不要なものについては曖昧な態度を取らず、最初にはっきり断ることも大切です。

「決裁権があるか」で態度が変わる営業もある

長年営業電話を受けていて、もう一つ気になることがあります。

電話に出た人に決裁権がないと分かると、急に対応が淡泊になる営業担当者がいることです。

反対に代表者や決裁権者につながった途端、非常に腰が低くなり、丁寧になる。

もちろん営業ですから、契約を決められる人と話したい気持ちは分かります。

しかし、私はここにも会社の姿勢が表れると思っています。

電話に出た事務員さんも、その会社の大切な一員です。

「契約してくれる可能性がある人にだけ丁寧にする」という姿勢は、案外相手に伝わるものです。

市外局番から、個人の携帯番号へ

さらに最近感じる変化が「電話番号」です。

以前は会社の固定電話から営業電話がかかってくることが多かったのですが、最近は個人の携帯電話番号からの営業が増えました。

理由はいくつかあるのでしょうが、受ける側の警戒心を下げる効果もあるのではないかと思います。

会社の電話番号なら、インターネットで検索すれば会社名や口コミが出てくることがあります。

営業電話として登録されている番号なら、そもそも電話に出てもらえないこともあるでしょう。

一方、知らない携帯番号なら、

「お客様かな?」

「取引先かな?」

と思って出てしまいます。

不動産会社の場合、お客様や家主様、業者さんから携帯電話で連絡をいただくことも多いため、知らない番号だからといって出ないわけにもいきません。

営業する側も、電話に出てもらうために方法を変えているのだと思います。

そして、ついにAIから営業電話がかかってきた

そして最近、とうとう新しい営業電話を経験しました。

AIによるテレアポです。

最初は普通に人間が話していると思いました。

声もかなり自然です。

ところが、こちらから少し想定外の質問をすると、返答が微妙にかみ合わない。

もう一度違う聞き方をしてみても、やはり会話に少しズレがある。

「あれ?これ人間じゃないな」

と気付きました。

AIだと分かった瞬間、私は電話を切りました。

AIの進化そのものには私も非常に期待していますし、仕事でも積極的に活用しています。

ただ、営業電話となると少し違和感がありました。

電話をかける側からすれば、AIなら人件費を抑えながら何百件、何千件と電話できます。

疲れませんし、断られて落ち込むこともありません。

非常に効率的です。

しかし、その電話を受けているのは生身の人間です。

テレアポそのものが悪いとは思わない

私は、電話営業そのものを否定するつもりはありません。

企業が売上をつくるために営業活動を行うのは当然です。

私たち不動産会社だって営業をします。

良い商品やサービスを、まだその存在を知らない人に伝えることには価値があります。

一本の営業電話によって、本当に役立つ商品やサービスに出会えることもあるでしょう。

ただし、営業する側が忘れてはいけないことが一つあると思います。

営業電話は、相手の時間を使っているということです。

1件5分でも100件電話すれば、受け手側の時間を合計500分使うことになります。

だからこそ、

「何者なのか」

「何のために電話したのか」

「何を提案したいのか」

をできるだけ誠実に伝える。

断られたら、相手の意思を尊重する。

それだけでも電話を受ける側の印象は大きく変わります。

「無料」という言葉にも注意したい

特に経営者の方には、「無料」「モニター」「限定」といった言葉だけで判断せず、最終的に何の契約をすることになるのかを確認してほしいと思います。

入口では無料と説明されたものの、話が進むと別のサービスや有料契約がセットになっていた、というケースも考えられます。

もちろん、すべての営業電話がそうだという話ではありません。

本当に良いサービスを電話で案内している会社もたくさんあります。

だからこそ、

「今ここで決めなければならないのか?」

「契約期間は?」

「解約条件は?」

「最終的にいくら支払うのか?」

を確認する。

そして必要なら、電話を一度切って自分で会社名やサービス内容を調べる。

私はこれだけでも、不要な契約をかなり防げると思います。

営業方法は進化しても、商売の本質は変わらない

固定電話から携帯電話へ。

商品説明から、営業だと分からない入り口へ。

そして、人間からAIへ。

この10年以上で営業方法は大きく変わりました。

これからAIがさらに進化すれば、人間と区別できない営業電話も当たり前になるかもしれません。

それでも私は、商売の本質はそれほど変わらないのではないかと思っています。

最後に人の心を動かすのは、誠意ではないでしょうか。

会社名を隠したり、営業目的を曖昧にしたり、とにかく数をかけて契約を取ったりする方法でも、短期的には売上をつくれるのかもしれません。

しかし会社を10年、20年と続けていこうと思えば、それだけでは難しいのではないでしょうか。

私自身、14期目を迎えて改めてそう感じます。

私たちエンラージも営業をする会社です。

不動産を売りたい方、店舗を探している方、リフォームを考えている方に私たちのサービスを知っていただかなければ、仕事にはなりません。

だから営業は必要です。

ただ、

「契約を取るために相手と話す」のではなく、「相手の役に立つために話した結果として契約につながる」。

そんな営業を続けていきたいと思っています。

AIが営業電話をする時代になったからこそ、人が行う営業には、これまで以上に「人柄」や「誠意」が求められるのかもしれません。

営業手法は変わっても、人と人との商売の根っこは変わらない。

14期目に入り、会社にかかってくる一本一本の営業電話を聞きながら、そんなことを感じています。

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