寝屋川市で、いわゆる「空き家税」の導入が進められています。
正式には**「空き家流通促進税」**と呼ばれるもので、2026年7月に条例が可決され、今後必要な手続きを経て、2029年度からの課税開始を目指しています。
では、なぜ寝屋川市がこのような制度を導入するのでしょうか。
そして気になるのが、
「そもそも、どこからが空き家なの?」
という問題です。
今回は枚方市・寝屋川市を中心に不動産業に携わる立場から、できるだけわかりやすく考えてみたいと思います。
「空き家税」は何のための税金?
空き家流通促進税の目的は、単純に税収を増やすことではありません。
寝屋川市には、誰も住んでおらず、売却や賃貸にも出されないままになっている住宅があります。
一方で寝屋川市は、新しく住宅地として開発できる土地にも限りがあります。
そこで、
「使っていない住宅をそのままにせず、売却したり、貸したり、活用したりして、市場に戻してもらおう」
というのが制度の大きな目的です。
空き家が市場に出れば、住宅を探している子育て世代などが購入できる可能性も高まります。
つまり、空き家を「眠っている不動産」から「使われる不動産」へ動かしていこうという政策です。
空き家になると、すぐに税金がかかるの?
ここは誤解しやすいところです。
例えば親御さんが亡くなり、実家が空き家になったとします。
その瞬間からすぐに空き家税が課税される、という単純な制度ではありません。
制度には一定の免除措置が設けられる予定で、相続が発生した場合や、売却・賃貸に向けて動き始めた場合などについても考慮されています。
制度の目的は、
「空き家になった人を罰すること」ではなく、「何年も何もせず放置される住宅を減らすこと」
と考えた方がわかりやすいと思います。
でも「空き家」の判断って難しくない?
私は不動産の仕事をしていて、ここが非常に気になるところです。
例えばこんな家はどうでしょうか。
・住民票は残っているけれど、実際にはほとんど住んでいない
・親が施設に入所して実家には誰も住んでいない
・相続した実家に月に1回程度、掃除に行っている
・遠方に住んでいるが、年に数回帰省して使っている
・将来は子どもが住む予定なので、そのまま置いている
・売りたい気持ちはあるが、まだ不動産会社には依頼していない
・売却中ではあるものの、なかなか売れず長期間空いている
「これは空き家です」と一律に線を引くのは、実際には簡単ではありません。
重要なのは、住民票があるかどうかだけではなく、実際にその住宅がどのように利用されているのかという点になると考えられます。
今後、具体的な運用基準がどのようになるのかは確認していく必要があります。
売りに出せば空き家税はかからない?
これも重要なポイントです。
空き家流通促進税という名前のとおり、この制度は住宅を市場へ流通させることを目的としています。
そのため、一定の条件を満たして売却や賃貸の募集を始めた住宅については、課税免除となる仕組みが設けられる予定です。
ただし、
「とりあえず売りに出しておけば永久に課税されない」
ということではありません。
募集開始から一定期間という考え方が設けられているため、制度が実際に開始されるまでに最終的な運用を確認しておく必要があります。
空き家税はいくらくらい?
2026年7月に可決された条例では、土地・家屋について固定資産税を基準として、35%相当を追加で負担する制度と報じられています。
仮に対象となる固定資産税が年間10万円なら、単純なイメージでは約3万5,000円の負担増です。
毎年発生すると考えれば、決して無視できる金額ではありません。
ただし実際の税額については土地・建物それぞれの計算方法がありますので、単純に現在支払っている固定資産税総額へ35%を掛ければよいとは限りません。
「とりあえず実家を置いておく」が難しくなる時代へ
私は、この制度で最も大きく変わるのはここだと思います。
相続のご相談を受けていると、
「急いで売る必要もないから、とりあえずそのままにしておこう」
という選択をされる方もいらっしゃいます。
もちろん、思い出のある実家です。
すぐに売却を決断できない気持ちも当然だと思います。
しかし空き家であっても、
固定資産税がかかります。
建物の管理も必要です。
庭木や雑草の手入れも必要です。
建物が傷めば修繕費も必要になります。
そして今後、寝屋川市では条件によって空き家流通促進税が加わる可能性があります。
つまりこれからは、
「使わない家を所有し続けることにもコストがかかる」
ということを、今まで以上に意識する必要があるのではないでしょうか。
大切なのは「すぐ売る」ことではなく「方向を決める」こと
私自身は、空き家になったからといって、すぐに売却することが正解だとは思っていません。
大切なのは、
①自分や家族が使う
②賃貸として貸す
③売却する
④建物を解体して土地を活用する
⑤一定期間保有する
など、その不動産をこれからどうするのかを家族で考えておくことです。
一番避けたいのは、
「何となくそのまま」
の状態が何年も続いてしまうことではないでしょうか。
特に相続した不動産の場合、時間が経つほど相続人が増えたり、建物が老朽化したり、家財道具の処分が難しくなったりすることもあります。
空き家になる「前」に家族で話してみませんか?
今回の寝屋川市の空き家流通促進税について考えてみると、私は「空き家になってから考える」のでは少し遅い場合もあると思っています。
例えば親御さんが高齢になったとき。
「もし施設に入ることになったら、この家はどうする?」
「将来、誰か住む?」
「誰も住まないなら貸す?売る?」
そんな話を家族で一度しておくだけでも違います。
売却すると決める必要はありません。
まず不動産の状況を知っておくこと。
土地・建物の名義は誰なのか。
住宅ローンや抵当権は残っていないか。
境界はどうなっているか。
いくらくらいで売却できそうなのか。
貸すことはできるのか。
こうしたことを事前に整理しておけば、実際に相続や施設入所などが発生したときにも慌てずに済みます。
最後に
寝屋川市の空き家流通促進税は、単なる「空き家への増税」と考えるより、
「使われていない住宅を、もう一度地域で活用していこう」
という制度として捉えた方が本来の目的に近いと思います。
一方で、「どこからを空き家と判断するのか」「売却活動中ならどうなるのか」など、所有者にとって気になる点もあります。
2029年度の課税開始に向け、今後の具体的な運用については引き続き確認していく必要があります。
エンラージ株式会社では、枚方市・寝屋川市を中心に、不動産の売却・相続・空き家についてのご相談を承っています。
「今すぐ売りたい」という方だけでなく、
「親の家を将来どうすればいいのかわからない」
「相続した実家をとりあえずそのままにしている」
「売るか貸すか迷っている」
という段階でも大丈夫です。
まずは現在の不動産の状況を整理するところから、一緒に考えていければと思います。

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