物価高で値上げする?価格を据え置く?地域のお店を見てきて感じること

最近、スーパーやコンビニに行っても「また値段が上がったな」と感じることが増えました。

飲食店や美容室など、地域でお店を経営されている方にとっては、さらに深刻な問題だと思います。

原材料費、仕入価格、電気・ガス代、燃料費、人件費など、さまざまなコストが上昇しています。

では、その上昇分を販売価格に転嫁して、お客様に負担してもらうべきなのでしょうか。

それとも、お客様のために価格を据え置くべきなのでしょうか。

私は長年、不動産会社として飲食店や美容室など、さまざまな店舗の開業や営業に携わってきました。

もちろん、すべてのお店に当てはまるわけではありませんが、これまで多くの経営者さんを見てきた中で感じることがあります。

値上げを選ぶ経営者と、価格を維持する経営者

物価が上昇したとき、経営者の判断は大きく分かれます。

一つは、仕入価格などの上昇分を販売価格に転嫁する方法です。

例えば800円だった商品を850円にする。4,000円だったサービスを4,300円にする。

当然、経営者として一番心配なのは、

「値上げしたらお客様が離れてしまうのではないか」

ということだと思います。

特に地域密着型のお店ほど常連のお客様を大切にしていますから、なかなか値上げに踏み切れない気持ちはよく分かります。

実際、私がこれまで見てきた経営者さんの中にも、

「お客様に負担をかけたくない」

という理由から、できる限り価格を据え置いてきた方がおられます。

これはこれで、一つの立派な経営判断だと思います。

ただし、価格を上げないのであれば、上昇したコストをどこかで吸収しなければなりません。

値上げしないなら、何を変えるのか

ここが今回、一番考えてみたいところです。

価格を据え置くためにできることは、たくさんあります。

人員配置を見直す。

営業時間を見直す。

メニューを減らす。

仕入先を変更する。

食品ロスを減らす。

広告費を見直す。

予約管理を効率化する。

デジタル化によって事務作業を減らす。

こうした企業努力によってコストを削減し、価格を維持することも十分に可能だと思います。

ですから私は、

「物価が上がったのだから値上げするべきだ」

と一概には思いません。

価格を上げることも一つの方法。

企業努力によって価格を維持することも一つの方法です。

ただし、注意しなければならないことがあります。

「無駄を削ること」と「価値を削ること」は違う

例えば飲食店で、ほとんど注文されないメニューを整理する。

仕入れを工夫して食品ロスを減らす。

予約管理を改善してスタッフの配置を効率化する。

こうしたことは、お客様の満足度を大きく落とさずにできる企業努力だと思います。

しかし、人件費を削りすぎて料理がなかなか出てこない。

食材の品質を落とす。

店内の清掃や設備のメンテナンスが十分にできなくなる。

美容室であれば、一人のお客様にかけられる時間が短くなったり、待ち時間が増えたりする。

こうなると話は変わってきます。

価格は変わっていなくても、お客様が受け取る価値そのものが下がっているからです。

私は、ここに大きな違いがあると思っています。

無駄を削ることと、お店の価値を削ることは同じではありません。

値上げによる客離れは本当に悪いことなのか

反対に、価格を上げる場合も考えてみましょう。

例えば10%値上げして、一部のお客様が来なくなったとします。

客数が減ることだけを見れば、経営者としては不安になると思います。

しかし、客単価が上がり、必要な利益が確保できるのであれば、必ずしも経営が悪くなったとは限りません。

利益が残れば、良い材料を使い続けることができます。

スタッフの待遇を維持することもできます。

設備を更新することもできます。

そして、より良いサービスを提供するための投資もできます。

さらに、離れてしまったお客様だけを見るのではなく、新しい価格でも「このお店に行きたい」と思ってくださる新規のお客様を増やしていくことも経営には必要です。

値上げによって多少のお客様が離れる。

その一方で、GoogleやSNS、口コミ、紹介などを通じて、新しいお客様に知ってもらう。

そうやってお客様が少しずつ入れ替わっていくことも、長く商売を続けていく上では自然なことなのかもしれません。

値上げするなら「伝え方」も大切

そして、同じ値上げでも伝え方によって受け取られ方は変わると思います。

何の説明もなく価格だけが上がるのと、

「原材料費や光熱費などの上昇により価格を改定させていただきます。その分、これまでの品質は維持していきます」

ときちんと伝えるのでは、お客様の印象は違います。

長く通ってくださっているお客様ほど、お店の事情を理解してくださることもあるでしょう。

値上げするかどうかだけではなく、なぜ値上げするのか、そしてこれからも何を大切にしていくのかを伝えることも経営者の仕事だと思います。

「お客様のため」とは何だろう

「お客様のために値段を上げない」

これは、とても優しい考え方だと思います。

しかし、私はもう一つの考え方もあると思っています。

お客様のために、お店を長く続ける。

無理をして価格を維持した結果、経営者自身が疲弊してしまったり、サービスの質が落ちたり、最終的にお店を続けられなくなってしまったら、それは本当にお客様のためだったのでしょうか。

一方で、簡単に値上げするのではなく、まず無駄をなくし、できる限り企業努力をした上で価格を維持する。

これも素晴らしい経営判断です。

結局、大切なのは、

「値上げするか、しないか」だけではないのだと思います。

値上げするのであれば、その価格でも選んでもらえる価値を提供する。

値上げしないのであれば、何を変え、何を削り、どうやって利益を残すのかを考える。

そして、どちらを選択する場合でも、

お客様が感じる価値まで削ってしまわないこと。

これが非常に大切なのではないでしょうか。

私自身、これまで地域でさまざまなお店の開業や営業に携わる中で、経営者さんが悩みながら価格を決めている姿を見てきました。

正解は一つではありません。

だからこそ、

「今のお客様に喜んでもらうこと」と「5年後、10年後もお店を続けていること」。

その両方を考えながら価格を決めることが、これからの物価上昇時代にはますます重要になってくるのではないかと思います。

エンラージ株式会社では、これから独立開業される方や、地域で店舗を経営されている方々とのご縁を大切にしながら、店舗探しだけではなく、その先にある商売についても一緒に考えていきたいと思っています。

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