メーターが1つしかない物件での募集時ルールづくりの重要性
こんにちは。エンラージ株式会社の上領です。
今回は、事業用物件の管理や募集を行う中で、意外と見落とされがちな「水道代」の取り扱いについて取り上げたいと思います。
住宅物件と違って、事業用物件には業種ごとに水道の使用量が大きく異なるという特徴があります。例えば、飲食店、美容室、クリーニング店などは水を大量に使う一方で、事務所や倉庫はそれほど使わないという傾向があります。このような違いがあるため、水道代の負担方法をあらかじめ明確にしておかないと、入居後に「話が違う」「不公平だ」といったトラブルになる可能性があるのです。
水道代の負担方法の基本3パターン
まずは、水道代の管理方法として考えられる3つのパターンを整理しておきましょう。
1. 個別メーター方式
最もトラブルが少ないのが、各テナントに個別の水道メーターが設置されており、各入居者が水道事業者(主に行政)と直接契約して使用・支払いを行うパターンです。この場合、管理会社やオーナーが介在する必要がないため、非常にクリアで安心です。
2. 子メーター(サブメーター)方式
建物全体に引き込まれている水道メーターは1つであっても、各テナントごとに子メーターが設置されている場合です。この場合は、貸主もしくは管理会社が定期的に検針し、使用量に応じて入居者に請求を行います。
この方式では、水道料金の算出根拠が明確なため、トラブルは起きにくいといえます。ただし、検針作業や請求業務に手間がかかるため、管理会社の運用体制が重要になります。
3. 共通メーター方式(建物全体で1つ)
問題が起きやすいのがこのパターンです。建物に1つしか水道メーターがない場合、誰がどれだけ使用しているかを正確に把握することができません。
この場合、費用の按分方法について事前に取り決めをしておかないと、「なんでウチがこんなに払う必要があるの?」というクレームや不満が発生するリスクが高まります。
共通メーター方式でのトラブルを防ぐためには?
もしあなたの管理する物件、もしくはこれから募集をかけようとしている事業用物件が「共通メーター方式」である場合、以下のような工夫が必要です。
1. 募集段階で水道代のルールを明示しておく
とにかく大切なのは「事前の説明」です。
たとえば、
- 「水道代として月額一律10,000円をお支払いいただきます」
- 「業種によって変動があり、美容室は月額7,000円、事務所は月額3,000円とします」
- 「これまでの使用量平均に対して増加分を毎月実費請求します」
など、できるだけ明確に金額・根拠を記載し、募集資料や契約書にも記載することが重要です。
特に「増加分を実費請求する方式」を採用する場合は、テナント入居前の水道使用実績(月平均の使用量や金額)をきちんと開示しておく必要があります。あいまいなままだと、後々「前の月より高いのは自分のせいじゃない」といったトラブルになりかねません。
2. 業種別の基準を設ける
業種によって水道使用量はまったく異なります。そのため、業種別の目安金額を設定しておくと公平性を感じてもらいやすくなります。
例:
- 飲食店:月額10,000円
- 美容室:月額7,000円
- 事務所:月額3,000円
もちろん、これはあくまで一例であり、建物の規模や水道料金単価によって調整が必要です。
3. 入居後の使用実績をもとに調整する柔軟性
一定期間(例:3ヶ月間)入居後の水道料金の変化を観察し、その後で請求額を見直す方式も効果的です。最初から完全な正確性を求めるのは難しいため、「柔軟に調整可能である」という姿勢を持つことがトラブル回避に繋がります。
入居者にとっての“安心”を提供することが大切
共通メーター方式の物件は、貸主や管理会社が「公平性のあるルール」を設け、「透明性のある説明」をし、「適正な請求」をすることが求められます。
反対にこれらがなされていない場合、入居後に「話が違う」と言われ、信頼を失う結果になってしまいます。水道代は決して家賃に比べて高額ではないかもしれませんが、「誠実に対応しているか」が問われる部分なのです。
エンラージ株式会社では事業用物件の管理相談を承っております
私たちエンラージ株式会社では、大阪府枚方市を拠点に、事業用物件の管理や募集、リフォーム、売買仲介まで一貫してサポートしております。
特に今回のような「共通メーターの水道代」や「光熱費の負担方法」といった、物件特有の課題にも柔軟に対応し、入居者様・オーナー様双方にとって安心できる運用を心がけています。
「水道代の請求方法が不明確で不安だ」「入居者とトラブルになってしまった」「適正なルールを一緒に考えてほしい」など、お困りのことがありましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
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