はじめに
割引キャンペーンは多くの飲食店で実施されていますが、単に安くするだけでは思わぬ結果を招くこともあります。効果的な割引キャンペーンを実施するためには、戦略が重要です。今回は、割引をしない場合、一律割引を行う場合、そして強弱をつけた割引を行う場合の3つのシナリオを比較し、その中で最も有効な方法を見つけるための考え方をお伝えします。
さっそく見ていきましょう~♪
戦略なき割引は危険!割引の落とし穴
割引キャンペーンを行えば、一時的にお客様の数は増えるかもしれません。しかし、その裏にはリスクが潜んでいます。たとえば、10%の一律割引をした場合、お客様の数が増えて売上は上がるかもしれませんが、それに伴いアルバイトを増員する必要が出てきます。これにより人件費が増加し、割引で下がった利益率にさらに圧力がかかります。結果として、売上が増えても経費も増え、「割引をしないほうがよかった」という状況に陥る可能性があるのです。
割引の3つのシナリオを比較
割引キャンペーンは多くの飲食店で実施されていますが、単に安くするだけでは思わぬ結果を招ここで、実際の数字を使って、3つの異なる割引戦略のシナリオを見てみましょう。
1. 割引をしない場合
- 売上: 500,000円
- 原価率: 30%(割引前の価格に対する原材料費などの直接コスト)
- 人件費率: 30%(通常時)
- その他経費: 15%(固定経費など)
利益計算:
- 原価:500,000円 × 30% = 150,000円
- 人件費:500,000円 × 30% = 150,000円
- その他経費:500,000円 × 15% = 75,000円
- 純利益:125,000円
- 利益率:25%
2. 一律割引をして売上600,000円の場合
- 売上: 600,000円(10%割引後の売上)
- 割引率: 10%
- 原価率: 30%(割引前の価格に対する原材料費などの直接コスト)
- 人件費率: 35%(アルバイト増員による増加)
- その他経費: 15%(固定経費など)
利益計算:
- 割引前の売上:600,000円 ÷ (1 – 10%) = 666,667円
- 原価:666,667円 × 30% = 200,000円
- 人件費:600,000円 × 35% = 210,000円
- その他経費:600,000円 × 15% = 90,000円
- 純利益:100,000円
- 利益率:約16.7%
3. 強弱をつけて売上600,000円の場合
- 売上: 600,000円(目玉商品のみ割引後の売上)
- 割引率: 5%(目玉商品のみ割引)
- 原価率: 30%(割引前の価格に対する原材料費などの直接コスト)
- 人件費率: 30%(通常時)
- その他経費: 15%(固定経費など)
利益計算:
- 割引前の売上:600,000円 ÷ (1 – 5%) = 631,579円
- 原価:631,579円 × 30% = 189,474円
- 人件費:600,000円 × 30% = 180,000円
- その他経費:600,000円 × 15% = 90,000円
- 純利益:140,526円
- 利益率:約23.4%
比較結果と結論
割引方法 | 売上 | 純利益 | 利益率 |
---|---|---|---|
割引をしない場合 | 500,000円 | 125,000円 | 25% |
一律割引で売上600,000円 | 600,000円 | 100,000円 | 約16.7% |
強弱をつけて売上600,000円 | 600,000円 | 140,526円 | 約23.4% |
この比較からわかるように、割引をしない場合の利益率が最も高いですが、戦略的に割引を行うことで、売上を増やしつつ高い利益率を維持することが可能です。特に「強弱をつけた割引」は、目玉商品で集客しながらも他の商品の通常価格を維持するため、経費を抑えつつ利益を確保する効果的な手段となります。
割引戦略の選択と実行
割引をしない方が良いのかどうかは、店舗の目指す目標や経営状況によります。新規顧客を増やしたい場合には割引キャンペーンが有効ですが、一律の割引ではなく、戦略的な割引が重要です。目玉商品に割引を設定し、その他の商品で利益を確保することで、集客力を上げつつも利益を維持することができます。
一方で、既存顧客を維持し、長期的な利益を確保したい場合には、割引を行わず、サービスの充実や会員制プログラムなどで付加価値を提供する方法が有効です。
最終的なアドバイス
割引を行う際は、目的に応じた戦略的な判断が重要です。目先の売上だけにとらわれず、長期的な利益確保を見据えた賢い割引キャンペーンを実施しましょう。
一緒に考えましょう~♪
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