今回のお話は決算書についてです!この章ではざっくりと決算書とはこんなもんですよ!程度で書いています。まずはどういったものなのか見ていきましょう!
多くの個人事業主や中小企業経営者にとって、決算書は避けて通れないものです。お店や事業の状態を把握し、今後の経営方針を決定するためには、決算書を読む能力が必要不可欠です。しかし、実際には決算書を読むことができる個人事業主は少なく、その結果、事業の状態を正確に理解できずに営業活動を行い、最悪の場合、倒産してしまうこともあります。
このコラムでは、決算書の基本的な読み方を解説し、最低限抑えておくべきポイントをお伝えします。決算書が読めるようになることで、お店の状態を把握し、経営の健全性を高めるための第一歩を踏み出しましょう。
決算書の基本構成
決算書は通常、以下の三つの書類で構成されています。
- 貸借対照表(バランスシート)
貸借対照表は、事業の財務状況を一目で把握できる書類です。資産、負債、純資産の3つの要素から成り立っています。具体的には、現金や売掛金などの「資産」、借入金や未払金などの「負債」、そしてこれらを差し引いた残りが「純資産」となります。貸借対照表を確認する際に、特に注目すべきは手元資金(現金および預金)の額です。手元資金の余裕があるかどうかは、一般的に「運転資本比率」で判断します。これは流動資産から流動負債を引いた額を流動負債で割ったものです。運転資本比率が1.5以上であれば、手元資金に余裕があると考えられます。具体的には、現金及び預金が月商の3か月分以上あると、資金繰りに対する安心感が得られるでしょう。例:
月商が300万円の事業の場合、手元資金が900万円以上であれば、急な支出や売上の減少に対しても余裕を持って対応できます。 - 損益計算書(P/L)
損益計算書は、一定期間の収益と費用を示し、最終的な利益や損失を計算します。売上高、売上原価、販売費および一般管理費、営業利益、経常利益、税引前当期純利益など、経営の収益性を分析するための重要なデータが含まれています。損益計算書では、売上高とそれに対する原価率(売上原価/売上高)を年度毎に比較して、事業の収益性を分析することが重要です。以下に、典型的なケースを挙げて解説します。- 売上が高いけど原価率も高い場合
例えば、ある年度で売上高が1,000万円であっても、原価率が80%(800万円)だと、残る粗利は200万円です。この場合、利益を残すためには、原価を削減するか、販売価格を引き上げる必要があります。例えば、仕入れコストを見直したり、付加価値の高い商品やサービスを提供することで、原価率を改善することが求められます。 - 売上が低いけど原価率は低い場合
例えば、売上高が500万円でも、原価率が30%(150万円)であれば、粗利は350万円です。この場合、売上を拡大することでさらに利益を増やせる可能性があります。ターゲット市場の拡大や販売チャネルの見直しを行い、売上を伸ばすことが利益を確保するためのカギとなります。
損益計算書では、過去数年のデータを比較して、売上高や原価率、営業利益の推移を把握することが重要です。特に、原価率が上昇している場合は、仕入れコストの増加や効率の悪化が原因かもしれません。逆に、売上が安定していても、利益率が低下している場合は、費用の増加が考えられます。 - 売上が高いけど原価率も高い場合
- キャッシュフロー計算書
キャッシュフロー計算書は、現金の流れを把握するための書類です。事業活動によるキャッシュフロー、投資活動によるキャッシュフロー、財務活動によるキャッシュフローに分かれており、事業の資金繰りの健全性を確認することができます。- 営業キャッシュフロー: 事業活動から生じるキャッシュフローで、通常の営業活動(売上から得られる現金収入と、支払いにかかる現金支出)が反映されます。営業キャッシュフローがプラスであることが重要です。これがプラスであれば、事業は日常的に現金を生み出している状態で、健全な経営が行われていることを意味します。例:
例えば、営業キャッシュフローが年間200万円プラスである場合、毎月およそ16万円程度の現金が事業活動から生み出されていることになります。これにより、短期的な支払いに対しても安心感を持つことができます。 - 投資キャッシュフロー: 新しい設備を購入したり、不動産を取得する際に発生するキャッシュフローです。このキャッシュフローは通常マイナスになりますが、将来的な事業成長を見込んだ投資として理解されます。例:
例えば、店舗の拡張や新しい機材の購入に500万円を投資した場合、投資キャッシュフローはマイナス500万円になります。この投資が将来的に売上や利益を生み出すかどうかを見極めることが重要です。 - 財務キャッシュフロー: 借入金の返済や新たな借り入れ、資本の増減によるキャッシュフローです。ここで、借入金の返済がキャッシュフローを圧迫している場合、資金繰りに注意が必要です。例:
例えば、年間に返済する借入金が100万円で、それに対する営業キャッシュフローがプラス200万円であれば、十分に返済能力があるといえます。しかし、営業キャッシュフローがプラス50万円しかない場合、返済が厳しくなる可能性があります。
- 営業キャッシュフロー: 事業活動から生じるキャッシュフローで、通常の営業活動(売上から得られる現金収入と、支払いにかかる現金支出)が反映されます。営業キャッシュフローがプラスであることが重要です。これがプラスであれば、事業は日常的に現金を生み出している状態で、健全な経営が行われていることを意味します。例:
決算書を読むことのメリット
決算書を読めるようになることで、以下のようなメリットが得られます。
- 経営の健全性を把握できる
決算書を読むことで、自社の経営状態を客観的に把握できます。これにより、無駄なコスト削減や適切な投資判断が可能となり、経営の健全性を高めることができます。 - 資金繰りの改善
キャッシュフローを把握することで、資金繰りの問題を早期に発見し、対策を講じることができます。特に、資金ショートを防ぐためには、キャッシュフロー計算書のチェックが欠かせません。 - 倒産リスクの軽減
事業の財務状況を正確に把握することで、早期に問題を発見し、倒産リスクを軽減することができます。決算書を定期的にチェックし、改善が必要な点を見つけ出すことで、健全な経営を維持することが可能です。
まとめ
決算書を読むことは、経営者としての基本的なスキルです。貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書の3つを理解し、事業の現状を正確に把握することで、健全な経営を維持し、倒産リスクを軽減することができます。
さらに、深掘りして決算書を読み解くスキルを身につけることで、自分自身の経営判断に自信を持つことができます。
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