先日、街づくりについて考える機会がありました。
枚方市でも、枚方市駅前や樟葉駅前など、大型商業施設を中心に便利な街づくりが進んでいます。
買い物もしやすく、飲食店も充実している。
暮らすうえで便利な環境が整っていることは、とても良いことだと思います。
ただ、私は以前から、もう一つ違った街の魅力があっても面白いのではないかと感じていました。
今回は、不動産仲介や独立開業のお手伝いをしている立場から、私が考える枚方市の街づくりについて書いてみたいと思います。
どこの駅前も、似たような風景になっていないだろうか
仕事や旅行で東京、仙台、博多などを訪れたとき、駅前に大きな商業施設があり、全国展開する飲食店や物販店が並んでいる光景を目にしてきました。
もちろん、大手企業が出店するのは、それだけ人が集まり、商売として成り立つと判断されているからでしょう。
利用する側にとっても、知っているお店がある安心感や便利さがあります。
一方で、どこの街に行っても同じようなお店が並んでいると、その街ならではの個性を感じにくいこともあります。
それとは対照的に、私が魅力を感じるのが、大阪の中崎町や天満、裏なんばのようなエリアです。
昔ながらの建物や路地に、小さなカフェ、居酒屋、バー、個人経営のお店などが集まっている。
店主の個性が見えたり、偶然入ったお店が思いがけず良かったり。
大型商業施設とは違う、街を歩く楽しさがあります。
私は、枚方市にもそんな場所がもっと増えたら面白いと思うのです。
商店街には、新しいお店が入ってくる循環が必要
枚方市内にも、昔から続く商店街があります。
例えば、牧野の商店街には今も賑わいを感じますし、樟葉にはくずはモールという大きな集客施設があります。
ただ、商業施設の外に目を向けたとき、個人店が集まる街並みについては、まだ違った可能性があるように感じています。
商店街にシャッターが下りたままの店舗があっても、所有者の方が特に活用を考えていなかったり、活性化したい気持ちはあっても方法が分からなかったりすることもあると思います。
建物の老朽化や改装費用など、簡単には貸し出せない事情もあるでしょう。
もちろん、長年その街で商売を続けてこられた方々や、地域のつながりは大切です。
だからといって、空き店舗が何年もそのままになり、新しいお店が入ってこなければ、街の景色もなかなか変わりません。
私は、商店街にもある程度の循環が必要だと思っています。
昔からのお店を大切にしながら、新しい経営者や若い世代が挑戦できる環境をつくる。
そのためには、空き店舗を積極的に募集することだけでなく、新しい人を歓迎する、風通しの良いコミュニティづくりも必要だと思います。
私が考える「裏ひらかた構想」
そこで、私なりに一つの構想を考えてみました。
仮に名前を付けるなら、「裏ひらかた構想」です。
枚方市内で空き店舗が集まっている地区を一つ選び、そこに独立開業を目指す個人経営の飲食店を集めるというものです。
大手チェーン店ではなく、焼き鳥、町中華、イタリアン、居酒屋、立ち飲み、創作料理など、店主それぞれの個性が感じられる小さなお店です。
例えば、仕事帰りに一杯飲んだあと、もう一軒寄りたくなる。
休日には、大阪市内や京都方面からも「今日は枚方で飲もう」と足を運んでもらえる。
そんな飲食店街ができたら面白いと思います。
ただ空き店舗を埋めるのではなく、街全体を一つの目的地として育てていく。
これが今回の構想の中心です。
まずは家主様が、借りやすい店舗をつくる
私は普段、独立開業を目指すお客様の物件探しや店舗改装のお手伝いをしています。
その中で大きな負担になるのが、開業時の初期投資です。
特に飲食店の場合、厨房設備、給排水、電気、換気、内装などにまとまった費用が必要になります。
物件を借りることができても、工事費用が予算に合わず、開業を断念せざるを得ない方もいると思います。
そこで考えたのが、借り手が現れてからすべてを改装するのではなく、家主様があらかじめ借りやすい店舗を整備する仕組みです。
行政が対象地区を決め、一定の条件を満たした空き店舗の所有者に改装費用の一部を補助する。
飲食店向けに給排水、電気、換気などの基本設備を整え、開業希望者が少ない初期投資で入居できる状態を目指します。
もちろん、飲食店は業態によって必要な設備が異なるため、すべてを完成させるのではなく、共通して必要な設備と、借主様が追加する設備を分けて考える必要があります。
また、建物の状態や用途、消防・保健所などの条件も事前に確認しなければなりません。
それでも、開業希望者が一からすべての工事費用を負担する場合と比べれば、挑戦しやすい物件を増やせる可能性があります。
補助金を使って家賃が上がっては意味がない
ここで重要なのが家賃です。
もともと空き店舗が多かった地区なのですから、改装後も従来の適正な家賃水準を基本にすべきだと考えています。
例えば、月額7万円で募集していた店舗を補助金で改装したからといって、家賃を10万円、12万円に上げてしまえば、結局は資金に余裕のある人しか借りられなくなってしまいます。
それでは、独立開業を支援するという目的から外れてしまいます。
家主様にとっても、これまで空室で得られなかった家賃収入が、入居によって生まれることになります。
一方、借主様は初期投資と固定費を抑えられる。
双方にメリットが生まれる仕組みが理想です。
公費を使う以上、家主様には一定期間の賃料据え置きや募集継続などの条件を設け、補助金が本来の目的に使われる仕組みも必要だと思います。
2店舗目ではなく、初めての独立や移転を応援する
出店する方にも、一定の条件を設けたいと考えています。
今回の構想では、既存の経営者が2店舗目、3店舗目を増やすための出店は対象にしません。
対象にしたいのは、初めて独立開業する方や、現在のお店を閉めて新しい場所へ移転する方です。
すでに商売をしている方でも、移転して再挑戦するのであれば歓迎したいと思います。
大切なのは、資金力だけで出店者が決まる街にしないことです。
料理の腕に自信がある人、長年修業して独立を目指している人、面白いアイデアを持っている人。
そんな人たちが、開業資金の壁を少しでも乗り越えやすくなる仕組みにしたいのです。
もちろん、開業後に商売を続けていくためには、事業計画や資金計画も欠かせません。
出店者を選ぶ際には、家主様が安心して貸せることも考えながら、無理のない事業計画になっているかを確認する必要があります。
行政はお金を出して終わりにしない
全国には、商店街の再生や空き店舗の活用に取り組んできた地域があります。
宮崎県日南市の油津商店街や、長野市の善光寺門前エリアなども、その参考になる事例です。
こうした事例から考えたいのは、建物を改装することだけではなく、新しい出店者を呼び込み、街の魅力を育てていく仕組みです。
行政が関わることで、個々の家主様や商店主だけでは難しい取り組みも進めやすくなるかもしれません。
ただ、私は補助金を出して終わりにしてほしくありません。
本当に必要なところへ資金が届いたのか。
何店舗が開業し、何年後も営業を続けているのか。
地域外から訪れる人が増えたのか。
そうした成果を継続して確認する必要があると思います。
そして、行政だけに任せるのではなく、商店街、家主様、不動産会社、出店者がそれぞれ役割を持つことも大切です。
枚方に、わざわざ足を運びたくなる飲食店街を
飲食店が集まるエリアをつくるのであれば、その街自体を一つのブランドとして発信することも必要です。
例えば「裏ひらかた」という名前で、飲食店マップをつくる。
SNSで新しく開業したお店や店主の人柄を紹介する。
複数のお店を巡るイベントを開催する。
枚方市内の人だけでなく、市外からも足を運んでもらえる仕組みをつくっていくのです。
もちろん、飲食店が集まれば、夜間の騒音やゴミ、臭気など、周辺住民への配慮も欠かせません。
地域の方々にとっても、安心して暮らせる街であることが前提です。
大型商業施設には、大型商業施設の良さがあります。
一方で、個人店が集まる飲食店街には、そこにしかない魅力があります。
便利な街であることに加えて、歩いて楽しい街、個性的なお店に出会える街、そして自分も挑戦してみたいと思える街。
そんな場所が増えれば、枚方市に住みたいと思う若い世代にとっても、一つの魅力になるのではないでしょうか。
おわりに
今回書いた「裏ひらかた構想」は、あくまでも私個人のアイデアであり、枚方市が進めている事業ではありません。
実際に進めるには、対象地区の調査、所有者の協力、行政の制度設計、近隣住民の理解など、考えなければならないことがたくさんあります。
それでも、普段から独立開業のお手伝いをしている私としては、こんな仕組みがあれば挑戦できる人が増えるのではないかと感じています。
空き店舗だった場所に明かりがともり、新しいお店が生まれる。
そのお店を目当てに、遠くから人が訪れる。
そして、そこで商売を始めた人が、長く地域に根付いていく。
お金を持っている人だけが出店できる街ではなく、挑戦したい人が集まる街。
そんな「枚方にしかない飲食店街」ができたら、私はとても面白いと思います。
エンラージ株式会社としても、これから独立開業を目指す方々の挑戦を、物件探しや事業計画、店舗づくりの面からお手伝いしていきたいと思っています。

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