店舗や事務所などの物件をご案内して、「この物件でお願いします」となり、申込書をいただく。不動産会社としてもうれしい瞬間ですし、家主様も「これで決まりそうだな」と期待されます。
ただ、私たちはこれまで何度も経験してきました。
申込みが入ったからといって、必ず契約になるわけではありません。
特に第14期に入ってから、申込み後にキャンセルとなる案件が何件か続きました。今回は、実際に私たちが経験したキャンセルと、そこからエンラージが変えてきたことについて書いてみたいと思います。
第14期に続いた、申込み後のキャンセル
第14期で目立ったのが、他の不動産会社からご紹介いただいたお客様のキャンセルでした。
当社が元付けの不動産会社で、別の不動産会社がお客様を連れてきてくださるケースです。
内見をしていただき、申込みが入る。ところが、その後なかなか契約まで進まず、最終的にキャンセルとなる。そんなケースが何件かありました。
もちろん、そのお客様が複数の物件へ同時に申し込んでいたのかどうかは分かりません。
私たち元付け側からすると、直接お客様とやり取りしていないため、「本当にこの物件で決めようと思っているのか」「何か迷っていることがあるのか」という部分が見えにくいこともあります。
だからといって、相手の事情をこちらで勝手に想像しても仕方ありません。この経験から、申込みをいただいた後の動きについても、以前より意識するようになりました。
キャンセルの理由は「気が変わった」だけではありません
申込み後のキャンセルというと、「やっぱり別の物件が良くなったのでは?」と思われるかもしれません。
しかし、これまでの仲介では、まったく違う理由で契約まで進めなかったケースもありました。
第13期には、審査が通らず契約できなかったケースがありました。
外国人のお客様で、予定していたビザを取得できず、物件を借りられなくなったケースもありました。
また、事業を始めるために必要な有資格者を採用できず、開業そのものを断念したケースもあります。
本人はその物件を借りたい。それでも、周辺の条件が整わなければ契約できないことがあります。
特に事業用物件の場合は、審査だけでなく、融資、許認可、人材確保など、さまざまなことが開業に関係します。ですから私たちも、「キャンセル=本人の気が変わった」とは考えないようにしています。
折り返しの電話が来ない。契約日が決まらない。
一方で、申込み後のやり取りをしていると、「少し様子が変わったかな」と感じることもあります。
それまで普通に連絡が取れていたのに、折り返しの電話が来なくなった。審査は通っているのに、なかなか契約日が決まらない。
そんな時には、「何か事情ができたのかな」「他の物件が気になっているのかな」「周囲に反対している人がいるのかな」と、こちらもいろいろ考えます。
でも、それは全部こちらの想像です。考えていても本当の理由は分かりません。
ですから最近は、曖昧な状態のまま待ち続けるのではなく、ご本人に意思を確認するようにしています。
本当に借りたいけれど、何か不安がある。それなら、その不安を聞かせていただき、私たちで解消できることであれば一緒に考えます。
一方で、すでに借りる意思がなくなっているのであれば、それも早めに教えていただいた方が良いと思っています。
無理に契約していただくことが目的ではありません。店舗を借りて商売を始めることは、大きな決断です。迷ったまま契約を急いでも、その後の事業にとって良いスタートにはならないと思うからです。
申込みが入ると、募集を止めることがあります
もう一つ、申込みをされる方に知っておいていただきたいことがあります。
申込みが入ると、その物件について新しい募集を一旦止めることがあります。
その状態が一週間、二週間と長くなれば、その間、家主様は別のお客様を募集する機会を失うことになります。私たちも、「申込みをいただいています」と家主様へ報告しています。
ですから、申込みをした後に事情が変わること自体は仕方ありませんが、できるだけ早く教えていただきたいと思っています。
「少し迷っています」でも構いません。そう言っていただければ、私たちも状況を確認できます。不安に思っていることがあれば、一緒に解決できるかもしれません。
反対に、すでに借りる意思がなくなっているのであれば、早めにキャンセルを伝えていただく。それによって家主様も、次のお客様の募集を再開することができます。
私たち自身も対応を変えました
もちろん、これは申込者の方だけの問題ではありません。
キャンセルが続いたことで、「私たち不動産会社にも改善できることがあるのではないか」と考えるようになりました。
現在は、審査承認後から契約までの期間が長くなる場合には、金銭の取扱いや返還条件などを明確にしたうえで、必要に応じて書面を交わして手続きを進めることもあります。
また、他の仲介業者を通して申込みをいただいた場合には、当社もできるだけ早く契約書を作成して相手方へ送り、契約書の取り交わしや決済金の支払いまでの期間を長引かせないようにしています。
そして何より、不安なことがあるなら、早めに聞く。ここを大切にするようになりました。
契約日が決まらないからといって、「キャンセルするつもりだろう」と決めつけるのではありません。事情を聞いてみる。借りたい気持ちがあるのであれば、何が引っかかっているのかを一緒に考える。私たちが間に入ることで解決できることなら、できるだけ対応する。
申込みから契約までの期間を、ただ待つ時間にしないようにしています。
申込みはゴールではなく、契約へ向けたスタート
店舗物件を探していると、物件を見つけること。申込みを入れること。契約すること。すべてが一続きに見えるかもしれません。
でも実際には、それぞれ別の段階です。
申込みを入れても、まだ契約ではありません。
その間に、審査や条件の確認、事業の準備など、いろいろなことがあります。そして時には、どうしても契約できなくなることもあります。
私は、それ自体が悪いことだとは思っていません。大切なのは、事情が変わった時に、できるだけ早く伝えることだと思っています。
店舗を借りれば、不動産会社との関係も、家主様との関係も、その後長く続いていきます。もし今回契約に至らなかったとしても、また別の物件でお会いすることがあるかもしれません。
だからこそ、借りたいのであれば、不安に思っていることを話す。事情が変わったのであれば、それを伝える。借りないと決めたのであれば、早めに伝える。
そして私たち不動産会社も、申込みをいただいたからと安心せず、契約まできちんとフォローする。
申込みから契約までのやり取りも、その後の良い関係をつくるための大切な時間だと思っています。

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