貸土地の仲介は、契約して終わりではありません。家主様のトラブルから私たちが考えたこと

当社では、店舗や事務所などのテナント仲介だけでなく、資材置場や車両置場などとして利用する貸土地の仲介も行っています。

先日、当社の営業エリアで土地を所有されている家主様から、貸土地についてのご相談をいただきました。

これまで家主様は不動産会社を通さず、ご自身で借主様と契約をされていたそうです。長い間、大きなトラブルもなく、借主様との関係も良好。そのため、契約書も比較的シンプルなもので問題なくやってこられました。

ところが、今回はそうはいきませんでした。

良好だった関係が、少しずつ変わっていった

お話を伺っていて印象的だったのは、最初から借主様との関係が悪かったわけではないということです。むしろ、これまでは良好な関係だったそうです。

ところが時間が経つにつれて、少しずつ土地の使い方が変わっていきました。

契約上、置いてはいけないものが置かれるようになり、産業廃棄物についても禁止していたにもかかわらず置かれてしまった。退去を求めてもなかなか応じてもらえず、ようやく明け渡されたと思ったら、今度はきちんと原状回復されていない。もともとは更地だった土地に、以前より土が盛られている状態で返ってきたそうです。

家主様がお話しされている様子を見ていると、怒りというよりも、「これまでうまくやってきたのに……」という残念な気持ちの方が大きいように私には感じました。

長く良い関係だったからこそ、最後がこのような形になってしまったことは本当に残念です。「飛ぶ鳥跡を濁さず」といいますが、まさに最後まできちんとしてほしかったなと思いました。

「建ててはいけない」と書いていても、建てられてしまった事例も

実はこれは、一つだけの事例ではありません。当社の営業エリアでは、別の貸土地でもトラブルがありました。

その土地では、契約書に建物を建ててはいけないことが明記されていました。それにもかかわらず、いつの間にか建物が建てられていたのです。

また貸土地では、建物だけでなく、プレハブやコンテナなどが置かれるケースも考えられます。

こうした実例を見ると、「契約書に書いてあるから大丈夫」と安心するだけでは十分ではないのだと感じます。

契約内容を明確にすることはもちろんですが、それを借主様にきちんと説明し、理解していただき、その後も約束した用途で使われているかを見ていくことが大切です。

資材置場や車両置場の土地は、建物の賃貸とは少し違います

今回のように、資材置場や車両置場など、建物の所有を目的としない土地の賃貸借については、一般的な建物賃貸借とは法律上の扱いが異なります。

借地借家法でいう「借地権」は、建物の所有を目的とする地上権または土地の賃借権をいいます。そのため、資材置場や車両置場など、建物所有を目的としない土地賃貸借は、原則として借地借家法上の借地権には該当しません。

だからといって、「土地を貸すだけだから簡単な契約書で大丈夫」ということではないと私は思っています。

むしろ建物がないからこそ、「何のために使用するのか」「何を置いてよいのか」「土地に手を加えてよいのか」「退去するとき、どの状態まで戻すのか」などを、最初に明確にしておくことが大切です。

まず家主様に、当社の契約書を見ていただきました

今回ご相談いただいた家主様は、これまでトラブルなく土地を貸してこられました。今回初めて大きな問題を経験したことで、「他ではどんなトラブルが起きているのか」「どうすれば防ぐことができるのか」ということも知りたいと考えておられました。

もちろん、私たちからお伝えできる事例や対処方法はいろいろあります。ただ、最初から考えられるトラブルを全部並べてしまうと、「土地を貸すって、そんなに怖いことなの?」と、必要以上に不安にさせてしまうかもしれません。

そこで私が最初にしたのは、当社が普段使用している貸土地の契約書の雛形をお渡しすることでした。

まずは一度ゆっくり読んでいただく。これまで使用されていた契約書と見比べて、「エンラージに任せると、ここまで考えて契約するんだ」ということを知っていただき、少しでも安心してもらいたいと考えました。

情報は、多ければ多いほど良いとは限りません。必要なことを、その時その時にできるだけ分かりやすくお伝えしていく。それも仲介会社の役割だと思っています。

エンラージでは「契約書を作って終わり」にはしません

もちろん、契約書を細かくするだけで、すべてのトラブルを防げるわけではありません。だから当社では、貸土地の仲介でも入口の段階を大切にしています。

借主様の審査を行い、連帯保証人について確認し、原則として賃貸保証会社への加入と契約期間中の継続加入をお願いする。そして契約書には、用途や禁止事項、原状回復など、後々問題になりそうなことをできる限り明確にしておきます。

さらに当社では、契約書をお渡しするだけではなく、契約時に借主様と内容を一緒に確認し、大切な部分を読み合わせて説明します。

なぜなら、契約書はトラブルが起きた後だけに使うものではなく、トラブルをできるだけ起こさないためのものでもあると考えているからです。

それでも問題が起きたら、家主様だけに任せない

どれだけ準備していても、人と人との契約ですから、絶対にトラブルが起きないとは言えません。

もし契約違反が確認されれば、まずは当社から是正を求めます。それでも改善されない場合には、家主様と相談しながら、提携している行政書士とも連携し、書面による通知や内容証明郵便の作成など、必要な対応を一緒に進めていきます。

大切なのは、「あとは家主様と借主様で話してください」で終わらせないことだと思っています。

契約を仲介した以上、何かあったときにもできる限り家主様と一緒に考える。そこまで含めて、私たちの仕事です。

私自身も、昔は「人を信じる」やり方でした

今回の家主様のお話を聞きながら、私自身のことも思い出しました。

エンラージを創業した当初の私は、今以上に「人を信じる」という考え方で仕事をしていたと思います。

もちろん、今でも人を疑って仕事をしたいわけではありません。できることなら、お互いを信用して気持ちよく仕事をしたい。

ただ、会社を続けていく中で私もいろいろな経験をしました。人も環境も関係性も、ずっと同じとは限りません。

最初にお会いしたときにどれだけ人柄の良さそうな方であっても、ビジネスではそこを一度切り離して考えなければならない。

だからこそ、「人を信じること」と「ルールを決めること」は別。今はそう考えています。

審査をする。契約書をきちんと作る。決めたルールを説明する。保証を付ける。問題があれば、そのままにしない。

少し堅く感じられるかもしれませんが、それは借主様を疑うためではありません。むしろ、貸主様と借主様が最後まで良い関係でいるために必要な一線なのだと思います。

貸土地の仲介も、契約してからが長いお付き合いです

これまで何も起きなかったから、今回も大丈夫。そう考えてしまう気持ちは、私にもよく分かります。

実際、今回ご相談いただいた家主様も、それまでは大きな問題なく土地を貸してこられました。

だからこそ今回のお話を伺って、改めて「何も起きていないときに、どこまで準備しておくか」が大切なのだと感じました。

私たちの仕事は、借主様を見つけて契約書にハンコをいただくところまでではありません。

土地を貸している間も、そしていつか借主様が退去されるときも、「エンラージに任せておいてよかった」と家主様に思っていただけるところまでが、仲介の仕事だと思っています。

貸土地について、「これまで自分で契約してきたけれど、このままで大丈夫かな」「資材置場や車両置場として土地を貸したいけれど、契約方法が分からない」という家主様がおられましたら、お気軽にご相談ください。

土地を貸すことだけではなく、貸した後のことまで一緒に考えます。


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