「メールアドレスをFAXしてください」
最近、不動産会社とのやり取りで実際に言われた言葉です。
メールアドレスを……FAXで?
携帯電話の番号が分かっているのであれば、ショートメールで送れば数秒で終わります。
電話口でメールアドレスを伝えるのも、私はあまり好きではありません。「Mです。mailのMです」「Nです。nameのNです」と、聞き間違えないようにお互い一生懸命確認する。でも、ショートメールならコピーして送るだけです。
AIやクラウド、電子契約など、世の中ではどんどんDX化が進んでいます。しかし不動産業界では、今でもFAXがかなり活躍しています。
ただし、最初に書いておきます。私は全国の不動産会社の実態を調査したわけではありません。ここから書くのは、私たちエンラージ株式会社が営業している枚方市やその周辺エリアで、日々仕事をする中で感じていることです。地域や会社によっては、もっとDX化が進んでいるところもあると思います。
そのうえで今回は、「なぜ私たちは、まだFAXをやめられないんだろう?」と考えてみました。
お客様は、そもそもFAXを持っていない
例えば物件の申込書。当社では、ご来店いただいて記入していただくことが第一です。それ以外であれば、申込書をPDFにしてメールで送る、郵送する、FAXを利用するといった方法があります。
ところが最近はFAXをお持ちのお客様が少なく、PDFをメールで送っても自宅にプリンターがないことも珍しくありません。
オンライン申込にすれば、全部解決するわけでもない
当社の駐車場についてはオンライン申込にも対応しています。便利になった一方で、「ここは何を書けばいいですか?」「写真がアップロードできません」「画像データが重いみたいです」と電話がかかってくることがあります。
結局、「では紙の申込書を送ります」となったり、「分からないのでお店へ行きます」となったりすることもあります。デジタル化すれば、すべての人にとって便利になるとは限らないんですね。
事業用物件なら、むしろ会って話したいこともある
当社では店舗や事務所など、事業用物件を多く扱っています。事業用物件の場合、申込書を書いて終わりではありません。
開業資金の融資、家主様との条件交渉、工事のスケジュール、営業許可など、申込以外にも話し合うことがあります。そのため、ご来店いただいて話をしながら申込書を書いていただくことも多いです。
ここについては、私は無理にデジタル化する必要はないと思っています。便利になるところはデジタルにする。でも、人と会って話した方がいいところまで無理にオンラインにする必要はない。そんなふうに考えています。
電子契約できるのに、紙の契約書がなくならない
不動産業界では、オンラインで重要事項説明を行える環境も整っていますし、電子契約もできるようになっています。当社でも対応できる環境はあります。
それでも実際の取引では、紙の契約書を使うことがまだまだあります。当社が仕事をしているエリアでは、ご高齢の家主様も少なくなく、電子契約より「紙でもらった方が安心する」「契約書は手元に置いておきたい」という方もいらっしゃいます。
以前、当社の営業エリアにある別の不動産会社さんから、電子化についてお客様へアンケートを取ったところ、紙を希望する方が多かったという話を聞いたこともあります。
不動産会社だけが「明日から全部電子契約にします」と決めれば済む話でもないんですね。
そして不動産会社同士では「名刺をFAXしてください」
物件をご案内したい時、不動産会社同士で「この物件、まだ募集中ですか?」「鍵はどこにありますか?」「今日案内しても大丈夫ですか?」と確認します。
すると、「家主様へ報告しますので、御社の名刺をFAXしてください」と言われることがあります。今でもです。
そして冒頭に書いた、「メールアドレスをFAXしてください」まで登場します。ここまで来ると、「FAXじゃないとダメなんかな?」と思ってしまいます。
エンラージもFAXを使っています
ここまで書くと、「エンラージはFAXを使っていないの?」と思われるかもしれません。
使っています。
ただし当社では、FAXを紙で出力するのではなく、すべてサーバーで受信してデータとして保存しています。
また、ある時期から申込書、重要事項説明書、契約書などの書類も、基本的にPDFで保存するようにしました。ファイル名にもルールを決め、契約番号や物件名などを入れて、後から検索すればすぐに取り出せるようにしています。
何年も仕事を続ければ、契約書類はどんどん増えていきます。だから当社としては、これ以上、紙を増やしたくない。というのが基本的な考えです。
A4片面印刷の契約書を見ると、ちょっと気になる
そんな中で、たまに気になることがあります。契約書類をA4用紙の片面だけで印刷するケースです。契約書や重要事項説明書はページ数がありますから、片面印刷するとかなりの枚数になります。
さらに、元付の不動産会社から契約書のデータだけがメールで送られてきて、こちらで印刷して製本してください、というケースもあります。
もちろん対応します。でも本音を言えば、「契約書を作成する側で製本してもらえたらありがたいな」と思うこともあります。
データで送ることで、送った側の紙は減っています。でも受け取った側で印刷しているので、全体として紙が減っているわけではありません。DX化というのは、単にPDFにすればいいという話でもないのだと思います。
メールを送ったら「メール見ましたか?」と電話する
これも不動産会社とのやり取りでよくあります。メールを送ります。しばらく待ちます。返事がありません。結局、「先ほどメールを送ったんですが、見ていただけましたか?」と電話します。
これでは、メール+電話になっています。
LINEでやり取りしている業者さんでも似たことがあります。LINEで内容を送ると電話がかかってきて、「さっきのLINEの件なんですけど……」。LINEで返事をもらえれば、そのまま履歴も残ります。でも電話で話す。
どちらが正しいという話ではありません。世代や人によって、慣れている連絡手段が違います。文章を打つより電話で話した方が早いという人もいます。
ただ、便利にするために増やした連絡手段によって、逆に仕事が増えていないかな?と思うことはあります。
それでもFAXは、意外と見てしまう
ここまでFAXについていろいろ書いてきました。では、「FAXなんて全部なくしてしまえばいい」と思っているのか。実はそうでもありません。
不動産会社から送られてくる物件情報やキャンペーンのFAX。手書きで「今月キャンペーン中!」「ご成約いただいた業者様には……」なんて書いてあると、私は結構見てしまいます。
メールだったら、たくさん届くメールの中に埋もれて開かなかったかもしれません。FAXだと目に入る。手書きだと、さらに目に入る。これ、意外と強いんです。
だから……当社もたまに不動産会社さんへキャンペーンFAXを送っています。
FAXを減らしたいと言いながら、自分も送っている。ここまで書いていて、「だからFAXがなくならないんやな」と自分でも少し納得してしまいました。
FAXが悪いのではなく、「何のために使うか」
今回この記事を書いてみて思ったのですが、私はFAXそのものが嫌いなわけではないようです。
紙の方が安心する人もいる。対面で話した方がいい契約もある。FAXだから目に留まる広告もある。電話で話した方が早い内容もあります。
だから、紙=古い。デジタル=正しい。そんな単純な話ではありません。
ただ、FAXするためのFAX。電話するための電話。紙にするための紙。これは少しずつ減らせるんじゃないかなと思っています。
昔からこうしているからではなく、「この仕事なら、どの方法が一番早くて分かりやすいだろう?」と一度考えてみる。
当社もまだFAXを使っていますし、すべてをデジタル化できているわけではありません。それでも、保存できるものはデータにする。検索できるようにする。必要のない印刷はしない。できるところから少しずつ変えていきたいと思っています。
そして明日もきっと、どこかの不動産会社からFAXが届きます。私もそのFAXを見ます。そしてキャンペーン内容によっては、しっかり読むと思います。
だからまだまだ、不動産業界からFAXはなくならないのかもしれません。
少なくとも、私たちが仕事をしているエリアでは。

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